今年は日本とペルーの外交関係が樹立して 150 周年。
日本人の移住先としてブラジル、アメリカに次いで多くの日系人が暮らす中南米の国・ペルー共和国(漢字では「秘露」と書きます)ですが、この国名を聞くと何を思い浮かべますか?

「インカ帝国」「マチュピチュの遺跡」「アンデス文明」「ナスカの地上絵」のような途方もない古代へ想いやロマンを馳せるものや世界で最も標高が高い(標高3,800m)場所にある「チチカカ湖」など。あとは日系人初の大統領となったフジモリ氏を思い出す方も多いかもしれませんね。

ペルーの山奥に築かれた、神秘的な「マチュピチュの遺跡」

中南米のメキシコやブラジルに比べると、食文化の情報も豊富とはいえないペルーですが、タテに長い国土には海岸地帯、山岳地帯(アンデス山脈)、森林地帯(アマゾン地域)があり、日本同様、その土地に合った料理が楽しめます。

白金台の外苑西通り(プラチナ通り)沿いにある「THE Tender HOUSE DINING(ザ テンダーハウス ダイニング)はコンテンポラリーペルー料理をコンセプトに掲げるお店。ベーシックなペルー料理がどんなものか知らないまま、お店のテーブルに着いたのですが、これも五感を研ぎ澄ませるためのエクササイズといえるでしょう。

プラチナ通りに面した開放感のあるテラス席も用意されている

古代遺跡を彷彿させる緩やかにカーブした格子状の石で覆われたグレイッシュな外観。プラチナ通りで要塞風の雰囲気を放つお店の中に足を踏み入れると、外観とのギャップに一驚。レストラン空間は自然光がたっぷり採り入れられ、インテリアの木肌がやさしさを感じさせます。

都内では希少なペルー料理のレストランは時にウエディング会場としても使用される

ランチタイムは月替りの「INDIGOコース」(2,800円)をチョイス。
初めてのコンテンポラリーペルー料理はどのようなものが目に飛び込んでくるのか…という高揚感と好奇心が入り混じるなか、運ばれてきたのは前菜「鯵の和梨 ティラディート アヒアマリージョの香り」。

サツマイモとトウモロコシもトッピングされ、さまざまな食感が楽しめる

走りの梨と生鯵をピリッとした辛味がアクセントになった酸味のあるソースで。
「アヒアマリージョ」とはペルーの黄色い唐辛子のことで、タイ料理に使われるピッキーヌ(世界で一番辛いといわれる)のような激辛ではなく、マイルドな辛味が特徴。ペルーではこの黄色い唐辛子を使う料理が多く、現地ではペースト状のものが売られているそうです。

メインは2種からチョイス。
こちらはメインの1つ「サーモンのアサードと冬瓜、揚げナス オクラとアサリのピコデガヨ」。
ひよこのゆるキャラを思わせる「ピコデガヨ(サルサフレスカ)」とは、ペルーのサルサソースを意味します。オクラとアサリのねっとりとしたソースとジューシーな鮭が口のなかで相まって、新鮮な味わいを醸します。

別添えされているオクラとアサリのソースを鮭にたっぷりかけて

もう1つのメインである「地養鶏のポヨサルタードデクレマ」は秩序よく並んだ鶏肉にビネガー、生クリーム、ショウガ、ニンニクを使った濃厚なソースが滋味深さを添える一品。このポヨサルタードはペルーの代表的な伝統料理で、中国人移民の食文化が反映されています。

ペルーの家庭料理をオシャレにアレンジ。一皿がアート作品のよう

「ヴァシュラン・グラッセ・トロピック」はパッションフルーツとパイナップルにバニラアイス、ホイップ、ゼリー、そしてスティック状のメレンゲが渾然一体となった甘やかで見目麗しいデザート。テーブルに感嘆の声を届けます。

涼やかで冷たい甘みを堪能した後はホロっとしたメレンゲに癒される

さて、日本では2023年8月からペルーとの外交樹立150周年を記念して、ペルーの楽器や民族衣装、遺跡、動物などがデザインされた「日・ペルー外交関係樹立150周年」切手が発行されました。
一方、ペルーでは日本との国交樹立150年を記念した銀貨が販売されたそう。銀貨の両面には富士山とマチュピチュの遺跡、それぞれの国を代表的する世界遺産が刻まれたデザインとなっているとか。

いつかは旅してみたい国、ペルー。
まずはお皿の上で出会ってみませんか。

information

THE Tender HOUSE DINING
東京都港区白金台4-19-16
TEL 03-6455-7728
https://www.tender-house.jp