新型コロナウイルスの影響でオリンピック史上初の1年延期で行われた「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」(以下、東京2020大会)。
緊急事態宣言下での開催を強いられ、開・閉会式や競技のほとんどが無観客で行われたことは記憶に新しいところです。

東京には、世界の人々の関心を引きつけるオリンピックが2度も開催された地であることを物語るレガシー(遺産)が点在しています。1964年は初めて日本で開催された五輪大会ということもあり、大規模な交通網の整備に加え、競技会場が次々と建造されました。戦後日本のモダン建築の傑作といわれる「国立代々木競技場第一・第二体育館」や「駒沢オリンピック公園総合運動場体育館」、「日本武道館」などは今も現役。大会を終えてもバトンのように五輪の歴史を繋ぎ、親しまれています。

今回は城南地区にある東京2020大会のレガシーを紹介しましょう。

エントランスにウォールアート!「渋谷区スポーツセンター」(渋谷区)

馬術を除く近代五種競技(1人で射撃・フェンシング・水泳・馬術・ランニングの5種目をこなす)の公式練習会場となった渋谷区スポーツセンター。エントランスの柱には渋谷区内で行われた競技のピクトグラムが施されています。また、館内3階にあるロビー壁面にはパラアスリート(男子)の走り幅跳び(義足T64)と走り高跳び(義足T64)の世界記録(各8m48cm/1m92cm)がデザインされ、東京2020大会を未来に語る場となっています。

INFORMATION
渋谷区スポーツセンター
東京都渋谷区西原1-40-18
TEL 03-3468-9051
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/shisetsu/sports/sp0_spcenter.html

POPで楽しい「渋谷区立代々木大山公園公衆トイレ」(渋谷区)

5種目の競技とサポート競技 (卓球・パラ卓球・パラバドミントン・車椅子ラグビー・ハンドボール・ボッチャ・フェンシング・陸上競技・パラ陸上競技) のイラストと子どもたちの笑顔をデザインした大きなサインボード! 代々木大山公園にある迫力満点の公衆トイレはなんともカラフルでポジティブなエネルギーに満ちています。地元で開催された東京2020大会の意義と歴史を伝える存在が公衆トイレという点がユニーク。

INFORMATION
渋谷区立代々木大山公園公衆トイレ
東京都渋谷区西原2−53
TEL 03-3466-7229

後世に東京2020大会を伝える「ゴールドポスト」(全国)

2021年9月から日本各地で金色に塗られたポストが続々登場したのをご存じでしょうか。それが東京2020大会で活躍した選手を讃えるための「ゴールドポスト」。既存のポストを金色に塗り直し、メダリストや監督などのゆかりの地に設置されています。もしかしたら未来の子どもたちはゴールドポストを通じて、東京2020大会を知ることになるのかもしれませんね。
写真は柔道66kg級の金メダリスト・阿部一二三選手の名前が記されたゴールドポスト。彼の母校である日本体育大学 東京・世田谷キャンパス前に設置されています。

「多様性と調和」をテーマとした2020大会を象徴するかのようにしっかりと点字が入り、誰もが読めるようデザインされている

INFORMATION
日本体育大学東京・世田谷キャンパス
東京都世田谷区深沢7−1−1
TEL 03-5706-0900
https://www.nittai.ac.jp/about/campus/

東京2020大会キャラクターと撮影!(世田谷区)

「駒沢オリンピック公園総合運動場体育館」に併設されている「東京オリンピックメモリアルギャラリー」では1964年に開催されたオリンピックの資料を展示。「東京2020大会 アーカイブ資産」をテーマにした企画展では聖火リレートーチや聖火ランナーのユニフォームなどが展示されています。なお、東京2020大会のキャラクターとしておなじみの「ミライトワ」と「ソメイティ」のフォトスポットも登場。一緒に写真を撮ってみてはいかがでしょう。

INFORMATION
東京オリンピックメモリアルギャラリー
東京都世田谷区駒沢公園1−1
TEL 03-3421-6299
https://www.tef.or.jp/kopgp/gallery/

「新幹線 」の正体は馬術競技の障害物!(世田谷区)

東京2020大会で馬術競技の会場となったのが世田谷区のJRA馬事公苑。ここでは世界の人馬が集結し、熱い戦いが繰り広げられました。 競技では日本らしいデザインが施された障害物が登場。きっと、各国の選手や関係者たちにNIPPONをアピールしたことでしょう。世田谷公園では大会組織委員会から世田谷区が譲り受けた障害物の実物2点が展示されています。それが、新幹線「はやぶさ」と「さくら」。はやぶさは公園内を走るミニSL駅の近くに置かれ、今では子どもたちの遊具として人気を集めています。
なお、馬術競技の障害物は大蔵運動公園にも。訪れた際にはぜひ、実物をご覧になってください。

INFORMATION
世田谷公園
東京都世田谷区池尻1-5-27
TEL 03-3412-7841

いまだ進化中!JR「高輪ゲートウェイ」駅(港区)

JR山手線の品川駅〜田町駅間に東京2020大会競技場への利便性の高い新駅ということで開業した「高輪ゲートウェイ」駅。このストーリーもまた未来に語り継がれるオリンピックレガシーといえるかもしれません。
JR山手線の駅舎のなかで一番開放的なデザインを感じさせるこの駅は、国立競技場を設計した隈研吾の建築。木とガラスの質感を生かした駅舎は電車の発着が下に見える大きな吹き抜け、その上には折り紙をイメージしたという巨大な屋根が渡され、気持ち良い空間を創っています。2021年に開催された東京五輪大会に合わせて開業した駅は周囲の環境も含め、今も整備中。完成に向けて形成されていく様を見守っていきたいものです。

『ゲートウェイ』の名に相応しく、巨大なスクリーンには日本らしさを感じさせる往来や花のアニメーションが映されている。上の帯のような部分にも花火や日本の風景など様々な心躍るアニメーションが投影される

INFORMATION
高輪ゲートウェイ駅
東京都港区港南2丁目
https://www.jreast.co.jp/estation/station/info.aspx?StationCd=1750