渋谷東急本店の前に建つ赤色の外観のお店。と聞けば「ああ、あそこね」と思い当たる方も多いかもしれません。そのお店こそ「VIRON(ヴィロン)」。1階がパンを販売するブーランジェリー、2階がブラッスリーのお店は2003年にオープンしました。そして今や渋谷で本格的なフランスパンを求めるならヴィロンと言わしめるほどに。

VIRONの2つの魅力とは…

1つ目はバゲット「レトロドール」。パリ郊外にある製粉会社ヴィロンの銘柄粉「レトロドール」を使用し、キツネ色に焼かれたパリッとした皮目と内側がもっちりとしたバゲットは本場の味に親しんできたフランス人も絶賛するほど。そのレトロドールの焼き立ての味を食べてもらうために作られたのが、2階のブラッスリー。お店の魅力を伝える2つ目はこのブラッスリーで提供される朝食です。朝9時からのオープンで、朝食を目当てに9時前には並ぶ人たちも珍しくありません。11時までにテーブルに着席できたら、ランチと入れ替わる時間帯まで朝食をいただくことが可能です。ブラッセリーには1階のブーランジェリーの脇から木の階段で。そしてたどり着いた赤を基調にした店内はまるでパリのオーセンティックなブラッスリーに足を踏む入れたかのよう。

朝食をオーダーすると、テーブルにお皿とナイフがセットされます。そして温まったバゲットとセルクル(ゴマやアワなどを練りこんだパン)が入ったカゴが運ばれてきます。バゲットはオーダーが入ってから焼き立てが運ばれ、テーブルに届ける前にカットされるという、きめこやかさ。

その後、朝食の主役といえる6種のジャム(イチゴ、アプリコット、ブルーベリー、ルバーブ、マーマレード、桃)とハチミツ、プラリネクリームが入った木のトレーが目の前に置かれます。なんとも粋なプレゼンテーション!

朝食はお皿の上にお好みのジャムをのせ、ナイフでパンに塗るスタイル。常連客のなかにはお皿をパレットに見立て、全種類を絵の具のように少しずつのせながら、その彩りを楽しむ方もいらっしゃいます。ジャムを選んでいるうちにカゴいっぱいに入ったヴィエノワズリー(クロワッサンやペストリーなど)が運ばれてきます。黄金色のグラマラスなパンに心ときめく瞬間。皆、パンを選ぶのに目を輝かせます。全種類のパンの説明を聞いた後、カゴのなかから2種選びます。この日はクロワッサンとパン・オ・レザンを。ヴィロンのクロワッサンはサクサクの皮とムチっと弾力のある、バターたっぷりの風味豊かな生地にファンが多いのです。ちなみに朝食に提供されるパンはテイクアウトも可能。ジャムははじめに全種類を試し、気に入った味をリピートしてみましょう。

近年、青果店に出回るようになったルバーブ(和名 西洋フキ)は酸味があり、ひかえめな甘味を好む方にオススメです。この日のハチミツはオレンジの花から採取されたもの。その濃厚な味わいに思わず瞑目。プラリネクリームと合わせると、まるでスイーツをいただいているようでした。

おかわり自由のコーヒーは飲み終わる絶妙なタイミングで注がれます。成熟したサービスもまた、VIRONの朝食を引き立てるのです。

朝を優雅に愉しむ時間を自分にプレゼントしてみませんか。きっと、その日は口角がキュッと上がった1日になるはずだから。