2022年。新型コロナウイルス禍のなか、2度目の新年を迎えました。昨年の初詣は全国的に参拝客が大幅に減少しましたが、今年は昨年に比べてどこも初詣客が戻ってきたようです。

明治神宮(東京都渋谷区)では2年ぶりに大晦日と元日に終夜参拝が行われました。

コロナ禍以前は正月三が日だけで300万人以上もの初詣客を数えた神社ですが、前年に引き続き、分散参拝やマスク着用を呼びかけるなど感染防止策がとられました。

今回、初詣に訪れたのは1月7日。前日に降った雪が残るなか、原宿駅から神宮橋を渡り、南参道を通って行きました。参拝路も規制され、普段なら参拝を終えた人々とすれ違う参道もこれから詣でる人の通行のみ。

拝殿に近づくと足元には赤いものが等間隔で植え付けられていました。これは参拝者が前後左右の距離をとるため、1メートル間隔で付けられた印。7日ともなると、この印を使うほどの参拝客は見られませんでしたが、いかに初詣客が多かったのかを想像しました。

2年ぶりの終夜参拝だけに寒空の下、多くの人たちがこの参道に長い列を作り、2022年が明ける瞬間を待ったのでしょう。

手水舎も密回避のため、普段は見られない流水式のものが設置されていました。また、例年なら3つの参道口周辺(北参道・南参道・西参道)と文化館前には屋台が並ぶところですが、昨年同様中止に。

境内に足を踏み入れると、普段通り多くの参拝客で賑わっていました。7日にはいつものように拝殿への階段を上がり、お賽銭を入れ、手を合わすことができましたが、終夜参拝からの数日は約400畳分もの巨大なお賽銭場が設置されたそう。

つまりは境内がお賽銭箱と化したということでしょうか。初詣客が日本一多い明治神宮ならではのエピソードです。

拝殿前にそびえる御神木の夫婦楠(めおとくす)も明治神宮造営時の献木

明治神宮の主祭神は明治天皇と昭憲皇太后。おみくじはおふたりの和歌が記されています。神宮が鎮座する代々木は、明治天皇がご体調のすぐれない昭憲皇太后を気遣われ、皇后がご散策できるよう庭園を造営された地でした。それが明治神宮の鎮座地としてこの地が選ばれた要因です。

南参道に比べて、参拝客の姿がぐっと少ない西参道

2020年に鎮座100年を迎えた明治神宮には都内有数の広大な鎮守の森が形成され、人工林であることを忘れてしまいそうになります。

社を護る「永遠の杜」が計画され、造営工事が始まったのは1915(大正4)年のこと。植林のため、全国・海外から350以上の樹種、約10万本の木が奉献されました。これらの献木を用いての植栽作業にボランティアで従事したのは11万人に及ぶ全国からの青年たち。献木の運搬は鉄道が用いられ、現在よりも約200m北側にあった旧原宿駅から北参道に向けて2本の引き込み線が設置されたほどでした。

林学博士の本多清六(日比谷公園の設計も担当、埼玉出身で同郷の渋沢栄一と半世紀以上にわたって交友)をはじめとする専門家たちの杜を造る造営のアイデアをはじめ、献木の伐採、運搬、植栽作業…。テレビ番組で初詣を紹介する際には必ずといっていいほど登場する明治神宮。東京都心にありながら、日本全国の人々が造った傑作といえる聖地へ、新年の参拝に出かけてはいかがでしょう。

Information

明治神宮

渋谷区神園町1-1

https://www.meijijingu.or.jp/