おごそかな点火祭に歴史ある建物を舞台にしたプロジェクションマッピング。
クリスマスシーズンを迎えた青山学院のキャンパスは都心の喧騒を忘れさせる、神聖で静謐な場所になります。
今年、創立150周年を迎えた青山学院の歴史は、明治時代にキリスト教の教育を掲げて開学されたことに遡ります。毎年アドベント(Advent)の到来を告げる点火祭は学院創立の精神を受け継ぎ、祈りの伝統を象徴する行事として根付いています。
アドベントは日本語で待降節(たいこうせつ)や降臨節(こうりんせつ)といわれるイエス・キリストの降誕を待ち望む期間で、2024年は12月1日から24日まで。
最近ではクリスマスまで毎日1つ、小さな扉を開けて中に入っているお菓子を取り出す「アドベントカレンダー」や毎週1本ずつキャンドルを灯していく「アドベントリース(アドベントクラウン)が日本でも見かけられ、クリスマスシーズンを楽しむ人も増えたようです。
点火祭当日の2024年11月29日。
青山学院の正門をくぐると、目の前にはイチョウ並木が黄金色のトンネルを描き、色づいた葉っぱが揺れる風景に心が静かに締めつけられました。
青山学院の点火祭は毎年、アドベントを迎える前の金曜日に行われます。
夕暮れを迎える前、点火祭の会場であるガウチャー記念礼拝堂の前では入念なリハーサルが行われていました。この日の主役である大きなツリーも上から下まで電飾がぎっしり。灯りがともされる夜が楽しみです。
点火祭まで、キャンパス内にある国登録有形文化財の2つの建造物を見物しました。
重厚なゴシック様式を思わせる「ベリーホール」は青山学院の創設者であるドーラ・E・ベリーにちなんで名付けられた建物。1931年竣工で、設計は近江八幡の洋風建築で知られるヴォーリズの弟子にあたる J.H.ヴォーゲル。当初は関東大震災後の神学校校舎として建てられ、現在は本部棟として利用されています。
もう1つの建造物は「間島記念館」。
白亜の円柱が堂々としたこの建造物は、当時の校友会会長であった間島弟彦氏の支援によって1929年に図書館として建設されました。アドベントシーズンを迎えると、プレセピオ(イエス降誕の場面を再現した馬小屋の模型)が設置されます。
太陽の残光がやわらかなマジックアワーが終わりを告げる頃、点火祭が始まりました。リハーサルの時はまばらだった人もいつの間にか増え、会場を埋め尽くすほど。息遣いが混じった声がすぐ隣から聞こえてきます。
式典はハンドベルの演奏で始まりました。
続いて、聖書より「招きのことば」が朗読され、全員で讃美歌「久しくまちにし」を合唱。冬の空気に神聖さが宿る、おごそかな時間が流れます。
学院生による聖歌やブラスバンドの音色に包まれた夕闇のキャンパスで、参加者たちは心の内側に明かりをともすような感覚を抱いたことでしょう。
「アーメン」の言葉と共に、すぐ隣にいた初等部低学年の生徒たちが小さな両手を胸の前で握りしめて祈る姿が印象的でした。
点火祭に参加した人たちに渡されたLEDキャンドルも一斉にきらめき、あたたかみのある柿色の光が静寂の夜に心躍る瞬間を届けます。
この日のメインイベントであるツリーの点灯は「きよしこのよる」が流れるなかで行われました。
青山学院の幼稚園から大学院までの代表者や職員がヒマラヤ杉を無数の光で灯していきます。その全てが点灯すると、ツリーは希望と平和の象徴に。点灯を固唾を飲んで見守っていた人々は心の芯に灯りをともされたような感覚を抱いたことでしょう。
締めくくりのゴスペル・クワイヤによる『Joy to the World』の歌声が夜空に響き渡ると、人々の祈りが音楽にのって空へと昇っていきました。
電飾が灯されたツリーは2025年1月4日まで見ることができま
またツリーと共に楽しみたいのが、間島記念館が舞台となる「No
夜空にきらめくクリスマスツリーの輝きと聖書の世界観を伝える美
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青山学院
東京都渋谷区渋谷4-4-25
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