ローマ帝国のシンボルであるコロッセオが現代のトーキョーに出現!?
そんな威容を誇るコンクリートの円形の建物に遭遇したのは目黒川と国道246号、山手通りに挟まれた一角。

無数のオオイタビが無機質な壁面を覆うこの建物の上に、まさか緑と花に囲まれた公園が隠されているとは…。
おそらく初めてこの公園に足を踏み入れた人は目の前に広がる光景に驚きを隠せないはず。

外部の熱を遮断し、CO2削減やヒートアイランド現象などの緩和に役立つ壁面緑化

それが目黒区立「目黒天空庭園」。
首都高速3号と中央環状(新宿 / 品川)線を結ぶ一周約400mの4層ループ構造になっている大橋ジャンクション(大橋JCT)の上にある立体都市公園です。

首都高速道路やジャンクションのループが直線と曲線の美を作る国道246号沿い

ジャンクションの上に公園を作るという日本初の斬新な試みで整備された目黒天空庭園は敷地面積約7,000㎡で、2013年に開園。
天空の名にふさわしく高い場所に位置するものの、緑と花がそこここに植えられ、普段行き慣れた公園と同じように心身がゆるりとほどけていくのを感じます。長く滞在すると何台もの車が駆け抜けるジャンクションの上にいることを忘れてしまいそう。遠くに林立する高いビル群が目に映ると、ようやくここが高層階にあることを思い出すほど。

上空から見た「目黒天空庭園」(目黒区提供)

園内は楕円のドーナツ形。高さは地上11m〜35m、高低差約24mの傾斜地になっています。巨大なR壁にぐるりと囲まれた地面には運動場「オーパス夢ひろば」が作られ、サッカーを楽しむ少年たちの歓声が上階にあるこの庭園にも響き渡ります。

空を遮るものがなく快適。樹々の緑が気持ちの良い「オーパス夢ひろば」(約3,000㎡)

ゆるやかな傾斜地である園内の小径がつなぐのは「東口広場」「四季の庭」「あそびの広場」「くつろぎの広場」「潤いの森」「コミュニティスペース」「西口広場」「もてなしの庭」「奥の庭」。四季折々の花が楽しめるのはもちろん、農体験ができる畑も広がっています。

管理等付近にある畑は子どもたちの農業体験の場

ここは一番標高が高い場所にある東口広場の展望台デッキ。
晴れた日には富士山を望めます。

その向こうに広がる秘境ムードを醸すエリアは「おおはし里の杜」。
ここは首都高の管轄で、換気所の屋上に整備されています。

普段は立ち入れないが、年に数回公開される「おおはし里の杜」

近年では都市化が進むと同時に緑化が進み、とくに東京では屋上や壁面の緑化を目にするようになりました。
4,700本以上の樹木、32,000株以上の地被類で屋上緑化を推進する天空庭園ではヒートアイランド現象の緩和をはじめ、省エネルギー、生物多様性などに大きく働きかけています。
そして人々には憩いの場を提供。この日も近所で働いている女性がお昼休憩を過ごしていたり、カメラをぶら下げた外国人がウォーキングする姿も見られました。

大橋図書館のあるクロスエアタワー9階など、入り口が5ヶ所ある

さて、しばしば遭遇したのは犬を連れた人たち。
目黒天空庭園では「ペットお散歩登録」をすることでお散歩が可能です(2年間有効)。
お散歩登録の担当者によると、なかには京都からはるばる犬を連れて訪れる人もいるそう。
毎日2回、世田谷区梅ヶ丘から犬の散歩に訪れるというご夫婦は「ここは車や自転車が通らないし、大型犬もいないから安心して歩けます。朝と夕方、自転車でここに来て犬の散歩をするのが日課です」。

晴れた日にはここでランチタイムを過ごすのもよいでしょう。
近くにある人気ベーカリー「TOLO PAN TOKYO」やビストロ風のオシャレな惣菜ショップ「Bet」などでお弁当を購入して、風と緑と光を感じながら天空のランチタイムなんていかがですか。

園内にはベンチやテーブルが点在。パンやお弁当を買ってピクニックするのも楽しい
information

目黒区立 目黒天空庭園
東京都目黒区大橋1-9-2
TEL:03-3464-1611(目黒天空庭園管理棟)
https://www.city.meguro.tokyo.jp/shisetsu/shisetsu/koen/tenku.html