夏の猛烈な暑さは花にとっても過酷な環境。
花を飾ったものの1日で枯れてしまった…という悲しい経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、夏でも萌えるような野のにおいに満ちた花が室内にあると、
そこで今回は夏に入手できるお花を使ったリースとブーケを紹介しましょう。
教えてくださったのは世田谷区中町にある「宙花(そらはな)」のオーナーであるフローリスト・戸部秀介さんです。
夏の花で作るリース
クジャクヒバをベースにしたリース。葉先も花材も時計回り(右回り)に配していきます。時計回りには「繁栄」「永遠」という意味が込められています。
<花材>
クジャクヒバ
ダスティミラー
サンキライ
フィリカスノードロップス
<使うもの>
リースベース
ワイヤー
ハサミ
作り方
1. クジャクヒバの枝葉を1本ずつカットし、ワイヤーでしっかり巻き留めていきます。葉先の向きの方向は時計回りに、巻き留めていく方向は反時計回りに。
2. クジャクヒバのボリュームやバランスを見ながらダスティミラーやヤマキライもワイヤーで巻き留めていきます。ところどころ、フィリカスノードロップスを入れるとアクセントに。
美しく作るポイント
花材はしっかり巻き留め、ドライになるとボリュームがなくなるのでその分を考慮しておきましょう。
リング型土台の内側や外側ともに花材がびっしり入るよう、立体的なニュアンスを意識しながら巻いていきましょう。
夏の花で作るブーケ
お花を気軽に贈る時に重宝するブーケ。さまざまな花材を美しく束ねるフラワーアレンジメントのテクニック「スパイラル」を用いて作っていきます。
<花材>
ユーカリポポラス
ユーカリ銀世界
ロングリーフユーカリ
バンクシア(ブーケリアナ)
紫陽花(マジカルクリスタル)
クラスペディア
スターチス(ピンクソロモン)
ライスフラワー
スターチス(ブルーファンタジア)
<使うもの>
ハサミ
紐
作り方
1. 利き手ではない方の手で花材を1本持ちます。
2. 2本目から、茎を斜めに重ねていきます。
親指・人差し指・中指を使って、持ちます。
3.花材を1本加えると親指・人差し指・中指で持ち直す。
この要領で 花材をらせん状に重ねていく。
4. 常にブーケ全体を上から見ながらバランスや色合いを確認し、花材を追加していく。
夏に長持ちする花を選ぶ時は暑さに強い種を選ぶことがポイントです。例えば南国原産や茎が硬くて丈夫なものなど。今回、ブーケで使用したネイティブフラワーである「バンクシア」は花も茎も硬めで、一見ドライフラワーのよう。花が傷みやすい季節には重宝します。
「基本的に花は高温な環境が苦手です。なので、室温が高くなる夏場は切り花が生けられている水の温度も上がりやすいので、直射日光が当たらない冷房のある室内に飾ってください」と戸部さん。この日、即興で作っていただいた夏の生け花がこちら。
リースで使用したクジャクヒバを花瓶の水の中に大胆に入れ、アルストロメリアを脇に活けたもの。こちらのアレンジ、とても涼やかですね。
夏場にバラやガーベラなどを購入したものの、花の部分がうな垂れてしまうことがある…という悩みに対しては「1本の花を新聞紙で花まですっぽり覆い、茎と花を固定します。その後、茎を2~3㎝切ってからその状態で1日、水につけて置いてください。たいていの花は元どおりになりますよ」とアドバイスをいただきました。
今回リースとブーケを作った場所は戸部さんのお店「宙花」。駒沢通りにあるコンクリートの壁に囲まれたスタイリッシュな店内
その後「作ったらあえてバラして何度でも作ってみるとコツがつかめますよ」という戸部さんのアドバイスのもと、4回トライ。なるほど、1度目よりは2度目とスパイラル状に花を束ねていくコツやセンターに入れたい花を束ねるタイミングなども少しずつ図れるように。
その人の感性を生かすよう見守りながらも大切なポイントについては専門家の視点でわかりやすくレクチャー、という絶妙な教え方をされる戸部さん。店内ではフラワーショップであまり見かけない個性的な花を集め、自宅ではシダを胞子から栽培されるマニアックな一面もお持ちです。
なお、宙花では出来上がったリースやブーケに美しいラッピングを施してもらえます。花にオシャレな服をまとわせるラッピングのプロセスもトキめく時間。だれかに贈りたいときや家に飾りたいとき、自分の手で夏の花を紡いでみませんか。
INFORMATION
宙花
世田谷区中町5-17-5-1F
TEL 03-6455-9587
https://sora-hana.shopinfo.jp