城南地区の環状七号線(環七)沿いにあるサミットストア野沢龍雲寺店。青果物を扱う地階に下りると、白菜やキャベツ、ネギなどの横にナニヤラ見慣れない大きなボックスが。透明の扉の向こうには4層の棚に小さな葉をつけた苗が栽培されている!いったいこれは?
その正体はドイツ・ベルリンで創業されたアグリテック企業「infarm(インファーム)」が開発した、デジタル技術を搭載した「ファーミングユニット」。アグリテックとは「アグリカルチャー(農業)」と「テクノロジー(技術)」を組み合わせた造語で、インファームでは農業と技術を両輪に「屋内垂直農法」を取り入れて、葉菜類を栽培しています。
サミット野沢龍雲寺店では2021年10月からインファームを導入。扱っている野菜は「プリーツレタス」「レッドソレル」「スカーレットケール」「わさびルッコラ」「イタリアンバジル」の5種で、どれも198円。青果部の方にお話をうかがうと、インファームを導入しているサミット3店(五反野店、成城店、野沢龍雲寺店)のなかでも一番多くの種類を扱っているのが、この野沢龍雲寺店。
「お客さまには目黒区や世田谷区の方が多く、エコや地産地消に興味のある方が多いような気がします。インファームを導入したのはそういったニーズがあると思ったからです」と話します。お店ではインファームのバジルを使った「カプレーゼ」も販売されています。
インファームは化学農薬を使わないことはもちろん、デジタル技術で葉菜類に最適な光、空気、栄養素、水を管理。カンタンにいえばデジタルで管理されている水耕栽培ですが、店内で人の手で1つ1つ摘まれ、袋詰めされるオペレータションに安心感を覚える方も多いはず。また、野菜の輸送(例 農家さん→集荷場→市場→スーパー)の過程が大幅に減るので CO2 排出量を抑えることができるというメリットも。ちなみにインファームの野菜を導入したことで90%の削減になっているのだとか。
なお、サミットのなかでも野沢龍雲寺店はSDGsの活動に積極的な店舗。インファームの導入のほか、外壁にはソーラーパネルを取り付け、店舗の一部照明に利用されています。1階には同店のSDGsの取り組みを紹介するコーナーも。
お店では毎週火曜日と土曜日の午後1時から収穫したばかりのインファームの野菜が並びます。普段の日も販売されていますが、収穫してすぐの野菜が買えるのは週2回。
ある午前中、ファーミングユニットの前で袋づめが行われていました。この作業を担当するのはインファームのスタッフ。「火曜日と土曜日はここに来て野菜を収穫し、袋につめ、植え付けを行っています。苗は3、4日で育つんですよ」と話します。
ちなみに植え付け用の苗はインファーム専用の栽培場所があり、そこから契約している店舗に運ぶのだそう。
さて、この日入手したインファームの野菜はレッドソレル、スカーレットケール、わさびルッコラの3種。
個人的に太陽の光を浴びていない野菜は味が薄いだろう…などとナナメから見ていましたが、塩とオリーブオイルのシンプルな味付けで食すと葉物野菜特有の青っぽいかおりが鼻先をくすぐり、口に入れると味が濃いことに驚き!とくに爽やかな酸味のレッドソレルは「採れたて」というよりは「産まれたて」を感じさせるイキイキとしたエネルギーみなぎる風味でした。百聞は一食にしかず。
「家では根を2cmぐらいの水につけておいてください」とインファームの方におそわったとおり、あまった野菜は現在、水耕栽培中。購入から2週間以上たった今もお部屋のグリーンとしてココロを和ませてくれています。さあ、大きく育ったらまたお皿にのり、胃袋を笑顔にさせてくれるでしょうか!?