ITが私たちの生活に浸透していったことに比例して、それまで地方に行かないと食べられなかったものが容易に入手できるようになった気がします。
デパ地下や期間限定の出店、アンテナショップなど、東京に居ながらにして日本各地の味を楽しめることは大変贅沢なこと。人も馬も肥ゆる収穫の秋ということで、今回は自由が丘で入手できる北海道と山形生まれの食を紹介しましょう。

都内で唯一!北海道の酪農家のアンテナショップ

北海道の牛乳・乳製品を扱うアンテナショップ「MILKLAND HOKKAIDO→TOKYO(ミルクランド ホッカイドウ・トウキョウ )」では1階から2階にかけて巨大な牛がドーン!お店の前を通る人たちは事件に遭遇したかのように足を止めます。そんなインパクティブなお店ではホクレン(北海道内のJAの経済事業を担うことを目的として設立された組織)に加盟する、北海道の酪農家さんたち20人の牛乳・乳製品を扱っています。

お店の人に話をうかがうと「アンテナショップをオープンするにあたり、都内のさまざまな場所の物件を見に行きました。自由が丘で感じたのは、遊びにやって来る人の多くがお店巡りが好きだということ。歩きながら興味をもったお店に入り、ショッピングを楽しむ傾向にあるように思います。また休日には家族連れも多いのもこの街の特徴。きっと食卓に北海道の牛乳や乳製品などを取り入れていただけるのではと思い、自由が丘で開業することになりました」。

「レクタン」「ルーチ」など聞いた事がない名前のチーズから「おつまみチーズセット」とありがたい詰め合わせセットまで揃っている

1階はソフトクリームや牛乳、チーズなどの乳製品を中心に据えたショーケースが並びます。

「オープン当初は『鮭やイクラはありますか?』と、ここを北海道の物産館だと思われていたお客さんもいました。けれど、オープンから3年が経ちようやく北海道の乳製品を扱っていることが認知されてきたようです。今では定期的にお気に入りの牛乳を買って行かれる方もいますよ」。

広々とした2階のカフェではこの店のど真ん中に悠々と立つ牛の背中を見られる。骨格や毛の流れがリアル

2階は牛乳や乳製品をふんだんに取り入れた定番、月替わりのメニューが楽しめるカフェ。
料理を注文するとアンテナショップで扱っている牛乳を試飲できる「トライミルク」が楽しめます。

本日のトライミルクはタカナシ乳業の『北海道3.7牛乳』(根釧地区)。すっきりとした味わいながらコクも感じられる

「ザ・チーズハンバーグ」はお肉とチーズの組み合わせをこよなく愛する人に味わっていただきたい1品。
北海道産ビーフで作られたハンバーグがのった鉄板にお店の方がラクレットやチェダー、ミックスチーズ入りのソースをまわしがけると…鉄板はあふれんばかりのチーズの海!グツグツと煮えたぎる鉄板とチーズの合奏が食欲中枢を刺激します。

ザ・チーズハンバーグ(1430円)。その名にふさわしく熱々のハンバーグの中からもとろりと濃厚なチーズが流れ出す

チーズの風味をとことん味わいたい人はぜひ「ザ・チーズスパゲティ」を。
ブルーチーズをベースにカマンベール、モツァレラなど6種のチーズと風味豊かな北海道産生クリームや牛乳、バターで作られる濃厚なソースは「道内産チーズを味わってほしい」という心意気が垣間見えるはず。

チーズソースと麺の絡まり具合が絶妙なザ・チーズスパゲティ(1155円)

スキレットで提供される「ダブルクリームパンケーキ」はファンの熱い要望により復活したスイーツ。
クリームチーズと生クリームのまろやかな2種のクリームがパンケーキと一緒に口のなかで溶けていく瞬間、愉悦に没入…。食べ終わると晴れやかな気持ちになれる味わいです。

スキレットのダブルクリームパンケーキ(990円)はフワトロ食感の生地に2種のクリームをたっぷりのせて堪能したい

カフェでは常時、牛の搾乳の様子や北海道の循環型酪農に従事する人たちの仕事を紹介する動画やアニメが流れています。普段、消費者の立場ではなかなか酪農家さんの仕事にふれる機会がありませんが、乳製品が製品化されるまでの工程や関わっている人たちの思いがわかると、これまで何気なく手にとっていた製品が大切に作られてきたのだな…と愛しく感じられるはず。

元プロ野球選手の鳥谷敬さんが酪農家の仕事を体験する動画も。酪農家の苦労ややりがいがひしひしと伝わってくる

アンテナショップでは飲食の体験も大切ですが、製品化にいたるまでの工程や生産者のパーソナリティや想いを紹介すること、そしてアンテナショップで働いている人たちの酪農家を応援する姿勢が伝わってくると、親和性が増すような気がします。ミルクランド ホッカイドウ・トウキョウはそんなあたたかな想いに包まれていました。

まずは牛乳やソフトクリームから北海道の酪農にふれてみませんか。

INFORMATION

MILKLAND HOKKAIDO→TOKYO
東京都目黒区自由が丘1-26-16 山川ビル1F・2F
TEL 03-3723-5700
https://www.milkland-hokkaido.com/milkland_tokyo_Jiyugaoka/

山形県天童市生まれのかわいい動物パン

「ミルクランド ホッカイドウ・トウキョウ」から歩いてすぐの「自由が丘テラス」にある「Shou Shou(シュシュ)」は山形県天童市で製造される動物パンの直営店。こぢんまりとしたお店ではゆるっとした表情が愛らしい動物パンが並んでいます。

通常はレギュラーの動物パンが並びますが、ハロウィンやクリスマスなど大きな行事のある月には動物パンもその行事のテーマにあったものに様変わり。ハロウィンのある10月にはこんなハロウィン仕様のパンが登場しました。

かぼちゃぱんだパン(左)、死神たぬきパン(右)。共に390円

ユーモラスな表情の動物パンの原料である小麦粉(強力粉)、バター、牛乳などは北海道産のものを使用。また、個性的な動物パンのデザインに欠かせないのがカラフルな色合い。これは合成着色料ではなく、国産野菜を乾燥させて粉末状にしたものを用いています。

フォトジェニックなパンは食べるのがもったいなく、飾りたくもなりますが、実際に食べてみると生地のかおりが豊かで、もっちりとグラマラスな食感に惹きつけられます(意外性は人をトリコにする妙薬…)。シュシュの動物パンは求心力のある、才色兼備な味わい。

なお、自由が丘店の1日の動物パンの入荷数は20種類、各3点。切っても切ってもあらわれる動物の顔がデザインされた食パンも少量ながら入荷する日もあるとのこと。
開店から1時間も経つとほぼ売り切れてしまうので、開店時間に合わせて訪れることをオススメします。

INFORMATION

Shou Shou 自由が丘店
東京都目黒区自由が丘1-25-9 自由が丘テラス101-B
TEL 03-5832-9353
http://www.shou-shou.shop/html/page3.html