ピリッとした空気が冷たく、冬の清々しさを伝える12月。

この時期は街のあちこちにクリスマスムードを盛り上げるデコレーションや音楽があふれています。

最近、洋菓子店やベーカリーでは海外にルーツをもつクリスマス菓子(ケーキ)が並ぶようになりました。お家や会社などでクリスマス会を計画されている方は、ちょっと珍しい海外発祥のクリスマス菓子もラインアップに入れてはいかがでしょうか。今回は城南地区で購入できる品を2つ紹介しましょう。

■大きなドーム型!イタリア生まれの「パネトーネ」
「LESS」のスタンダードなパネトーネ(3,850円)。本場イタリアではクリスマスの贈り物としても用いられるほか、バレンタインやイースターなどにも登場する。

最近は「マリトッツォ」が人気を集めていることもあり、勢いのあるイタリア生まれのスイーツ。同じくイタリアからの「パネトーネ」は気泡が見えるふんわりとした生地にレーズンやオレンジなどのドライフルーツが入った伝統的な発酵菓子。ドーム型の見た目はしっかりとした口あたりを想像させますが、カットするとストロングな見た目とは裏腹な軽い食感が魅力です。

日本初のパネトーネ専門店「LESS(レス)」の「AGRUMI PANETTONE (レモン/オレンジ/柚子)」はミラノで50年以上育まれてきた天然酵母が使われています。製造に3日間もかかるそう。クリスマス前のお店では発送を待つパネトーネの箱がいたるところに積まれていました。丸い頭部と大粒の白砂糖はフィレンツェの「ドゥオモ」に積もった雪のよう。口に入れるとほんのり甘い、ムッチリとした生地と柑橘系のピールが好相性。甘いものが苦手…という方にもおすすめです。切り分ける時はパネトーネを覆うペーパーごとカットするのがスマート。

なお、パネトーネはイタリアのほか、ブラジルでも食べられています。

来年でブラジル・サンパウロ在住50年を迎える日本人女性にパネトーネやクリスマスの食卓についてうかがいました。

「ブラジルは移民の国です。イタリア系の移民が多かったサンパウロではクリスマスの食べ物として七面鳥や豚のオーブン焼き、そしてパネトーネが定番です。しかし、ポルトガル系移民の多かったリオデジャネイロでは鱈(タラ)料理とハバナーダ(フレンチトースト) が定番。シュトーレンはドイツ系移民の多い南部の州で食べられています。パネトーネは時間をかけて何回も特別なイースト菌で発酵させるので、水分の少ない生地になり、保存料を入れなくても長い期間楽しめます。毎年11月頃からスーパーマーケットに大小さまざまなパネトーネが並び始めると、クリスマスシーズンの訪れ。ブラジルの人々は親しい人への年末の贈り物としても買い求めます」

■ドイツのアドヴェントを盛り上げる「シュトーレン」
ドライフルーツやナッツがぎっしりとつまった「FRAU KURUMM(フラウクルム)」の重量感のあるシュトーレン(1,750円)

14世紀、ドイツのザクセン州ドレスデンで誕生したといわれる「シュトーレン」。パネトーネに比べ、日本での知名度も高い印象を受けます。ずっしりと重い棒状の塊に白い粉砂糖がたっぷりふりかけられたこのお菓子。本場ドイツではアドヴェント(クリスマスの4週間前からクリスマス当日までの期間)に薄くスライスしていただきます。重厚感のある生地には洋酒に漬けたレーズンやオレンジピールといったドライフルーツやナッツ類が入り、時間が経つにつれ、熟成された味わいが楽しめます。

ケーキやお菓子などを皆で切り分けて食べることは時間や場、感覚を共有すること。同じ味を皆でシェアしながら、話を聞く、喋る…目の前の誰かのことをもっと知ることにつながります。

いつかその時間が幸せな思い出になりますように。和やかなクリスマスをお迎えください。

今回ピックアップしたお店

LESS

恵比寿ガーデンプレイスにほど近い小さな路地にあるお店。パネトーネのほか、美的感性をくすぐるケーキも人気を集めています。

東京都目黒区三田1丁目12-25 金子ビル1F

03-6451-2717

https://www.lessbygrks.com/

FRAU KRUMM

プレッツェルやケシの実を使ったドイツパンがお好きな方にオススメ。モーニングやランチボックスも好評です。

東京都渋谷区恵比寿1-16-20

03-6451-2717

https://www.facebook.com/fraukrumm/