個性的なお店が点在する、どこかノスタルジックな雰囲気を感じさせる代々木八幡商店街。
窓越しに色とりどりの引き出しが見えるお店は文房具やクラフトチョコレートのショップ、はたまたアートギャラリー!?そんな道行く人の好奇心をくすぐる、不思議な魅力を放つお店がこの商店街にあります。
それが「HININE NOTE(ハイナインノート)」。
世界にただ1つのノートを作ることができるお店として今、注目を集めています。
印刷会社である株式会社ハイナインの一角にあるお店は木のぬくもりとやわらかく射し込む自然光に包まれた、居心地のよい空間。自分の考えや想いを表現する“場所”であるノートが日々、ここで産声を上げています。
この日、案内してくださったのはHININE NOTEの八木星璃(やぎあかり)さん。
ノートのサイズや紙、オプションの選び方の他、どんな場面で使うのに適しているのかを丁寧に説明していただきます。お話を聞きながら自分が理想とするノートのカタチが頭のなかで少しずつ明確になっていく、エクササイズのような時間。
いよいよ、オリジナルのノート作りを体験!
自分の好みに合わせて、必要なパーツを選んでいきます。
★ノート作りのプロセス
1.ノートのサイズを決める
最初のステップは、ノートのサイズと向きを決めること。
提供されているサイズはB5とB6ですが、オプションでどちらも正方形にもミリ単位で指定でカット可能です。なお、ダイアリーはB6のみ。
ノートのサイズは使い勝手の良さに直結するので、この段階でじっくり考える人が多いそう。
2.表紙の素材を選ぶ
次に表紙の素材を選びます。
クラシックで落ち着いたデザインや存在感のある色合いの紙はレザーと合わせて54種がラインアップ。手に取った時のフィーリングで選んでいきます。
表紙、裏表紙をそれぞれ異なる用紙を選ぶことも可能。少しずつノートの「顔」が見えはじめます。
「1時間以上かけてじっくり紙を選ぶ方も、直感でパッと決める方もいらっしゃいます。お客さまのなかにはお洋服のポケットのサイズに合うよう、ミリ単位で指定されたり、他社で廃番になったノートが気に入っていたから同じサイズのものを作りたい、という方もいらっしゃいますよ」と八木さん。
3.リングを選ぶ
次にリングの色や仕様を選びます。
リングはノートの使いやすさに影響するだけでなく、全体の見た目のアクセントにもなります。全部留めか上下留め(上下留めの場合、クラフトポケットは不可)を選びます。
4.中紙を選ぶ
書き味を左右する大切なパーツである中紙は、母体が印刷会社だけに書きやすいと感じた紙を厳選しているそうです。
ノートは6種(2024年12月2日より画用紙が加わる予定)、ダイアリーはマンスリー、ウィークリーのタイプが揃っています。
普段使う筆記具を持参する人も多く、試し書きもOK。好みのテイストの紙を選び、ムジや方眼、けい線のパターンを細かく指定していきます。
クリアポケットやクラフトポケットを入れたい場合はこの段階で選びます。
5.オプションを選ぶ
角を丸くカットする「角まる」加工や、ノートの留め具となる平ゴム、丸タックなど、細かい部分も自分の好みにカスタマイズできます。平ゴムや丸タックはリングの色と合わせるのも、あえて色味の異なるものを選ぶのもよし。
6.箔押し(文字入れ)を選ぶ
名前やモチーフを入れることで特別感がアップする箔押し。定番の色は金、銀、銅、黒、白ですが、マンスリーで限定色も登場します。
★製本のプロセス
1.表紙の箔押し
表紙の箔押しをするため、八木さんは耐熱手袋をはめると箔押し機の前に立ちます。
「機械は120~125℃と高温なので、防熱のために手袋が欠かせません」。
箔押しは一度押して、少しでもかすれているともう一度下に厚紙を敷いて押していきます。こちらからすれば、全く気にならない程度のかすれでも、八木さんは「完璧な状態でお渡ししたいので」と妥協なし。箔押しをはじめ、製本の時に出た端材は再利用され、ミニノートとして生まれ変わるそうです。
2.角を丸くカット
オプションで角まるを選んだ場合、この段階で角を丸くカットします。
3.紙にリングを通す穴を開ける
箔押しした表紙をはじめ、中紙、裏表紙を整え、リングを通すための穴を開けていきます。
ガチャン!と骨太な音が店内に轟きます。
ノート作りに来店した方が一番驚くのはこの製本する時の音だとか。
4.リング綴じ
リングが通ると表紙と中紙が一体化。紙がスムースにめくられるよう丁寧に調整されます。
5.オプションの取り付け
平ゴムや丸タックなどの取り付けを行います。
細部まで品質を追求し、ノートを完璧に仕上げていきます。
製本にかかる時間は15分程度。
こうして、出来上がったオーダーノートがこちらです。
「オリジナルのノートは決してお安いものではないので、お客さまの想いが形になるよう、全力で丁寧に作っていきます。私が大切にしているのは完成したノートを手渡した時のお客さまの感想に耳を傾けること。新しいサービスに繋がるヒントをいただいているような気がしますね」と八木さんはやわらかい笑顔で語ります。
普段から社内には「これ、お客さまに喜んでいただけるかも!」という声が飛び交っているそうで、出来上がったノートを入れる紙バッグもその声から生まれた1つ。肩からかけられるよう持ち手が長くて、おもてなしの心を感じるスタイリッシュなデザイン。帰宅後もトキメキを感じさせてくれます。
HININE NOTEは現在、代々木公園と池袋ロフトで実店舗を展開する他、オンラインでのオーダーも可能。また、期間限定のポップアップショップを出店することもあります。
代々木八幡周辺に滞在する外国人ツーリストもふらりと訪れることもあるし、ノート作りを旅のスケジュールに組み込んだ全国からの観光客も多いそう。そしてノートを作ってファンになった人からは「うちの街にもポップアップで来てほしい」とラブコールを送られることも。
手に取った瞬間、そのきめ細やかな作りがじんわりと伝わってくる、世界で私だけのノート。
これから閃きや大切な想いを書き留める相棒となってくれることでしょう。
information
HININE NOTE
東京都渋谷区上原1-3-5 SK 代々木ビル 1F
03-6407-0819
https://hininenote.jp