2021年2月にリリースされた「せたがやPay」は世田谷区内で使える電子版の商品券。スマホにダウンロードしたアプリでキャッシュレス決済できる便利なサービスについて、世田谷区商店街連合会専務理事の坂本雄治さんにお話をうかがいました。(以下敬称略)

聞き手 株式会社アイネスト専務取締役 井田高広

ー現在、せたがやペイを導入している店舗の数はどのくらいですか?また、お店が加盟にいたるまでの取り組みを教えてください。

坂本:2021年2月20日のリリースから約1ヶ月(2021年4月19日現在)で約800店舗に加入いただいています。消費者がダウンロードするアプリも10,000ダウンロードを超えました。せたがやPayはコロナ禍の影響で経済的な打撃を受けた世田谷区の個店を応援するためにリリースしました。使えるのは加盟している区内のお店だけですが、世田谷区にお住まいではない方にも使っていただけます。

世田谷区には97の商店街、商店会があります。せたがやPayに加盟していただくため、2020年11月から5つの地域に分けてトータル28回、説明会を行いました。参加された方からは「コロナ禍の真っ只中に、そんな新しいモノを導入するの?」「今まで通り、現金でのやりとりがいい」という声もありました。が、PayPayなどのキャッシュレス決済が市民権を得ていることや初期費用が無料であること、世田谷区商店街連合会に加入しているお店は手数料が無料という点にメリットを感じてくださった方が加盟してくれました。

世田谷区では以前から区内の商店や飲食店で使える紙の商品券を販売していました。2021年は「世田谷プレミアム30%付商品券(個店応援券)」(総額6億円分)に加え、電子版商品券であるせたがやPayを総額2億円分、販売することになったのです。

現在、紙の商品券の方には約3000店に加盟いただいています。比率でいえば、紙の商品券が4分の3、せたがやPayが4分の1の割合です。将来的には紙の商品券と同じくらい加盟店数を増やしたいですね。コロナ禍で非接触型のキャッシュレス決済が推奨されていますが、スマホを使うのが苦手という高齢者の方もいらっしゃるので、紙の商品券をすぐに電子版に切り替えることは考えていません。

このロゴが加盟店の目印!

ー消費者にとって、紙の商品券もせたがやPayも30%分のポイントが付与されるプレミアムが魅力ですね。また、せたがやPayを導入されているのは個人経営のお店が多いと思います。コロナ禍の影響もあり、現金を回収するタイミングを気にされる経営者もいらっしゃったのではないでしょうか。

坂本:30%のプレミアム分は世田谷区からの補助です。換金は原則として、週に1度、振り込みます。ただし、現金回収を急ぐお店から申請を受けると、3営業日後に振り込んでいます。世田谷区にある13の金融機関にご協力いただいて、振込手数料は無料、私どもの換金手数料も無料です。

ーそれは個人経営のお店にとってはありがたいことですね。せたがやPayを導入されたお店側からはどんな声が届いていますか?

坂本:「思ったより簡単だった」という声が多いですね。長年、ご商売をされていると「この時期にはこの商品を多めに仕入れよう」と勘が働く方も多いと思います。将来的にはせたがやPayは商品ごとの取引履歴の詳細も確認できるようにしたいと考えています。仕入れや売上チェックなどに役立てていただけるとよいですね。

ー世田谷区内の商店街と普段からお付き合いされている坂本さんにとって、区内の商店街や運営されている方々はどのように映っていますか?

坂本:商店街の方々は発想が豊かだなと感じることが多いですね。桜新町では商店会が開催する「ねぶた祭り」があります。この町は地方から就職で上京してきた若者たちを受け入れ、いわゆる「集団就職」の先駆けとなった地域だと聞いています。このことが桜新町で青森のねぶた祭りを開催する下地になったとうかがっています。

世田谷を盛り上げていきましょう!
左側:当社専務取締役井田 右側:坂本さん 世田谷区役所を定年退職された後、世田谷区の交流自治体の群馬県川場村にある第3セクターに勤務されていた坂本雄治さん。川場村で数年経った頃「そろそろ世田谷区に戻ってきて商店街の仕事をしてみないか?」と声をかけられ、現職に。

ーせたがやPayの将来的なミッションをおしえてください。

坂本:今、考えていることが2つあります。

1つは世田谷区内の商店街ではそれぞれスタンプ(ポイント)を発行していますが、せたがやPayでも同様に、各商店街のスタンプをアプリで反映できたらと思っています。

2つ目は世田谷区内で行われるボランティア活動に参加したら、従来のジュースやタオルといった景品の代わりにポイントを付けることです。また、健康促進につながるアクションを実行するとポイントが付与される仕組みも作れると良いですね。

まずは「せたがやPayはいつも何かキャンペーンをやっている。おトクそうだし、キャッシュレスで便利だし、ちょっと使ってみようか」と思ってもらえる存在をめざしています。将来的には世田谷の地域通貨として浸透することを願っています。

せたがやPayを使ってみました

せたがやPayを初めて試したのは世田谷区三軒茶屋にある「TEN FINGERS BURGER」。 この日もせたがやPayでお会計された方がいらっしゃったそうです。実際に使ってみて、PayPayなどの電子決済サービスと多少操作感の違いはあるものの、簡単に支払いを済ませることができました。アプリ内で加盟店を検索してみたところ、充実していましたし、今後もまだまだ数が増えていくようで楽しみです。このアプリを使うことで少しでも地域の活性化に役立つのであれば、今後も積極的に利用していきたいと思っています。」

せたがやPayサイト

https://setagayapay.com